ランナーとカフェイン

イタリアの研究者がコーヒーが好きかどうかは遺伝子が関与しているという論文を発表しましたね。それにも少し絡むのですが、カフェイン飲料でマラソンが速くなるなら?


【以下、毎日新聞 医療プレミア より一部抜粋】
http://mainichi.jp/…/…/articles/20161007/med/00m/010/011000c
1杯のコーヒーがあなたを速くする?

市民ランナーに人気のカフェイン飲料

市民ランナーにカフェイン飲料は大変人気があります。ほとんどの日本の大会でも給水所に置かれています。スペインの研究者が数年間かけて、スペイン国内および国際競技大会参加の2万人以上の尿サンプルを分析したところ、4分の3がカフェインを含んでいました。大会前にコーヒーを飲んでいる人が多数いたのだと考えられます。一方で、ランナーの中には「カフェインは利尿作用があるから、フルマラソンに出る1週間前から取らない」という人もいます。私の実感では、トレイルランニング(山道を走るレース)の参加者にそう言うランナーが多い印象があります。

◯カフェインの効果を左右する遺伝子
1杯のコーヒーは本当にあなたを強く、速くするのでしょうか? その答えが、2016年、米国スポーツ医学会議でカナダ・トロント大学の研究者によって発表されました。まったく驚くべきデータでした。カフェインの効果の有無は、あなたの遺伝子に関係しているというのです。研究では、さまざまなスポーツから100人の選手を募集して実験が行われました。プラセボ(効果のない偽薬)、低用量と高用量2種類のカフェイン薬(体重1kg当たり0.2mg、または1kg当たり4mg)を用意します。100人は、3種類いずれかの薬を服用後に、10kmのサイクリングタイムトライアル(全速力でサイクリングをする競技)を行いました。すると全体的に高用量のカフェイン服用の被験者の方が速いという結果がでました。研究はさらに、ヒトの体の中にあるカフェインを分解する酵素に注目しました。その酵素を作る遺伝子の一つが「シトクロムP4501A2(略称CYP1A2)」というものです。このCYP1A2遺伝子を調べたところ、100人中49人は通常の型である「GG」遺伝子でした。このタイプの人はすぐにカフェインを代謝します。対して遺伝子の変異型である「GA」または「AA」の人はゆっくりと代謝します。100人中43人がGA型、8人がAA型でした。

そこで、高用量カフェインを服用した場合の、選手の遺伝子タイプとタイムトライアル記録の向上率の関係を分析しました。高用量カフェインを取ると、何も取らない場合に比べて、100人全体では平均1.2分の記録向上が認められました。しかしGA型の人に限ると記録向上は平均0.5分。逆にAA型の人は2.5分も向上していました。カフェインとランやバイクの速さというテーマは、これ以前にも報告されており、「高用量のものを取れば速くなる」という点では、カナダチームの研究も同傾向の結果を出しています。ですが、今回は遺伝子まで研究したことに独自の面白さがあります。まだ不明なところも多いのですが、カフェインの効果が人により差があることははっきり言えそうです。

◯コーヒーと糖尿病の関係にも同じ遺伝子が関与
また、イタリアの研究者はCYP1A2の遺伝子型によっては、コーヒーが糖尿病の引き金になると指摘しています。彼らは約6年間1180人を対象に統計を取り、コーヒーを全く飲まない人に対して、1日あたり1〜3杯飲む人は30%増、3杯以上飲む人では2倍以上、空腹時血糖値が上昇すると報告しました。さらに、CYP1A2の遺伝子型により、カフェインの代謝に時間がかかる人(つまりGAまたはAA型です)で、コーヒーを3杯以上飲む人は、空腹時に血糖値が高くなるリスクがさらに上がり、3倍になるというのです。彼らが実験したコーヒーは砂糖入りで(日本以外、ミルクも砂糖もなしでコーヒーを飲む習慣の国はあまりありません)、研究者たちは、カフェインの処理に時間がかかり、コーヒーの中の糖分を処理するのが後回しになるからではないかと考察しています。日本では、そのような認識は少ないのですが、海外ではコーヒーは糖尿病を予防すると信じられているところが多く、このデータは注目されました。

市民ランナーの視点に戻ると、カフェインの分解が遅い遺伝子タイプの人はコーヒーやコーラを飲めば、カフェインの効果でより速く走ることができるかもしれないが、それによる弊害も出るかもしれない、というわけです。

…冒頭に「カフェインは利尿作用があるから、フルマラソンに出る1週間前から取らない」とあります。確かに利尿作用はあるかもしれませんが、水分を摂取すれば排泄が伴う。それだけのことで、水分は水分という考えで良いと私は思います(個人の感想ですが、自己暗示に近いと思っています)。
まぁ、この研究はなかなか面白いですね。遺伝子からタイプ別に摂取するものを変えてタイムに変換する。すごい時代になってきましたね。わざわざ遺伝子の方を調べなくても、コーヒーが好きで飲んで美味しいと感じるなら適性があるので、そんな方がマラソンに出るときに活用すれば良いんじゃないか?と思います。お店のお客様で一人心当たりがありますので、個人の経験と感想を聞きたいですね(=゚ω゚)ノ

2016/10/10