珈琲のコク:1

「コク」日常でよく耳にする言葉です。「コクのあるスープだね」「コクのある奥深い味わい」「サッパリしているようでいて後味に何ともいえないコクが広がる」とか。
なかには「あの人はコクのある人だ」「人生のコクを感じさせる名演奏」など、時として味だけにとどまらず人を表すときにも使ってしまいます。CMなどでもよく目にします。私たちは「コク」と聞いて「美味しそうだな」と想像してしまいます。ではこの「コク」って何でしょう?
説明できますか?実はこの「コク」には科学的アプローチがあまりなされていません。一言では説明できない複雑な分野なのです。なぜならコクは口に入れた瞬間に感じるものではありません。甘味や塩味、辛みなどはすぐに感じることができますが、コクは時間をおいてジワリと感じるものだからです。簡単に説明できない味覚に遭遇したときコクを感じませんか?ただ甘いだけでなく複雑な甘味を感じたときとか。「たくさんの味が混ざっている」この感覚もコクを説明するキーワードです。しばし「ボディ」と表現される感覚も重要です。実は生物にとって本能的に美味しさを感じる条件があります。つまり生命維持に関わるもので「タンパク質」「脂肪」「糖類」この三大栄養素は簡単に説明すると「うま味」「油脂」「甘味」です。これらは無条件に(本能として)美味しさを感じる味わいです。身近なものでコクを感じるものを説明すると卵などは油のエネルギー、ミネラルやビタミン、タンパク質。まさに完全栄養食品。卵にはコクを感じます。まさしくこれは本能からくるコクの欲求です。例えば牛丼は「うま味」を調整したダシに「油脂」である牛肉、そこに完全栄養食品の卵を落とせば「やみつき」になるのは実に当たり前の現象ともいえます。砂糖とうま味の組み合わせのバリエーションとしてすき焼きなども同じですね。卵をくぐらせなくては美味しさも半減です。つまりは「複雑な美味しさの味わい」=「コク」というわけです。しかしそれだけではありません。

2010 5月掲載