珈琲のコク:2

実際の所、「コク」にはつかみきれない部分が沢山あります。それは食感や香り、風味、そしてその食品に関して学習したことや連想。これらが脳内でもっと広がり、抽象的なことがらや精神性などにも結びついていきます。これらを統合したものが「コク」の正体です。だから人にもあてはまりますし、味覚では全く異なる食品にも共通してコクを感じさせるのです。・・・随分と前置きが長くなりましたが、では「珈琲のコク」とは何でしょうか。私はコクのある珈琲を説明するときモカ種に「コク」を当てはめます。特にイエメンモカには他の珈琲産地にはない複雑な味わいを感じさせてくれます。一本調子ではなく飽きのこない味わいに奥行きを感じます。「ボディー」との違いは飲んだときに舌の上に感じる重みが「ボディー」であって、飲み終わった後に感じるものではないので区別しています。一本調子ではない、そういった意味ではコクを感じやすく飽きずに飲み続けられるのはブレンドかもしれません。しかし珈琲には前回説明した三大栄養素など含まれておらず、カロリーもブラックでは1〜2kカロリーとエネルギーとしては貧弱です。しかも人は苦みに敏感です。苦みの受容体は30種類ほどあり、うま味、甘味に比べると異常とも言える厳重な備えです。何故か。それは味覚として苦みと酸味は毒物かもしれないからです。ここに冒頭で説明した精神性が重要な位置を占めていきます。もちろん味覚や香りが入ってきてから後の話となりますが・・精神性の面からは例えば同じ珈琲を使っていたとして方や産地に何度も足を運びカウンター業30年以上のベテランのお店と始めたばかりの一年生だったらどちらが美味しく感じると思いますか?抽出技術は同じと仮定します。同じ珈琲を使用していると知らなかったらならおそらくベテランの店で「コク」のある珈琲を飲むことを選ぶでしょう。そうです「コク」の一部にはこのような情報も含まれるのです。

2010 6月掲載